美大生が作品を売る方法 — 委託販売・公募展・自分で通販の違い
在学中に作品が少しずつ溜まってきて、「これは売れるのだろうか」と考えたことのある方は多いと思います。ただ、いざ売ろうとすると情報がばらばらで、どこから手をつければよいのか分かりにくいのが実情です。
この記事では、在学中に作品を売る手段を三つに整理し、それぞれ手元にいくら残るのか、そして自分が何を引き受けることになるのかをまとめます。
売り方は大きく三つに分かれます
委託販売(ギャラリー・オンラインギャラリー)
作品をギャラリーに預け、売れたときに手数料を差し引いた額を受け取る方法です。委託である以上、作品の所有権は作家のままというのが基本の形になります。売れなければ作品は戻ってきます。
撮影、紹介文の制作、集客をギャラリー側が担うぶん、手数料が発生します。制作の時間を確保したい方には向いた方法です。
公募展・アートフェア
出品料を先に払い、審査を経て展示される方法です。受賞歴という形で実績が残り、講評や人との出会いにつながることもあります。
一方で、売れるかどうかにかかわらず、出品料と搬入・搬出にかかる費用は先に出ていきます。売上を目的にするというより、経験と評価を得るための場と考えたほうが実態に近いでしょう。
自分でオンライン販売する
各種のECサービスやSNSを使い、自分で価格を決めて売る方法です。手数料をもっとも低く抑えられ、価格の決定権も完全に自分の手にあります。
そのかわり、撮影、文章、梱包、発送、問い合わせ対応、そしてトラブルが起きたときの対応まで、すべてが自分の仕事になります。
自分で売る場合、「事業者」としての表示義務が発生します
見落とされやすいのがこの点です。
インターネットで広告を出して申し込みを受ける販売は、特定商取引法の「通信販売」にあたります。消費者庁のガイドによれば、通信販売の広告には、販売価格、送料、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、返品特約の内容、そして販売業者の氏名(名称)・住所・電話番号などを表示することが求められています。
反復継続して販売する場合、個人であっても「販売業者」にあたり得ます。学生の立場で自宅の住所と電話番号を公開することの重さは、決して小さくありません。一定の条件で表示を省略できる場合もありますが、その場合も請求があれば遅滞なく提供できる状態にしておく必要があります。
「自分で売れば手数料がかからない」と考えるとき、この手間と責任も一緒に引き受けることになる。そう理解しておくと、判断を誤りにくくなります。
手元に残る額を、同じ物差しで比べる
三つの方法は、費用の発生するタイミングが違います。
- 委託販売 — 費用は売れたときに、手数料として後から引かれます。売れなければ持ち出しはありません
- 公募展 — 出品料と輸送費が、売れるより先に出ていきます
- 自分で販売 — 決済手数料や出品手数料に加え、梱包材、送料、撮影のための道具などが継続的にかかります
手数料の数字だけを見比べると委託販売が高く見えますが、売れなかったときの持ち出しまで含めて考えると、順位は入れ替わることがあります。学生のうちは、先に現金が出ていかない形を選んでおくほうが続けやすいはずです。
どれを選ぶかは「今、何が足りないか」で決まります
- 実績と講評がほしい — 公募展
- 制作の時間を守りたい — 委託販売
- 売ることそのものを学びたい — 自分で販売
どれかひとつが正解というより、時期に応じて組み合わせていくものだと考えています。
YOHAKU アトリエの委託条件
参考までに、私たちの条件を具体的に書いておきます。
- 掲載は無料です。売れなかった場合の費用は一切かかりません
- 委託型のため、作品の所有権は作家のままです
- 手数料は15%。販売価格の85%が作家の収入になります
- 作品は作家の手元で保管していただきます
- 購入者の受取確認後、1週間以内にご指定の口座へお振り込みします
- 委託の終了は、1ヶ月前のご連絡でいつでも申し出ていただけます
対象は在学中の美術大学生・大学院生で、平面作品であればサイズ・素材・画風は問いません。卒業制作でも、課題作品でも構いません。
条件の詳細と応募フォームは作家募集のページにまとめています。いきなり契約や出品をお願いすることはありませんので、まず話を聞いてみたいという段階でもかまいません。
おわりに
作品を売るという行為は、制作とは別の技術を必要とします。最初から全部を自分で背負う必要はありませんし、逆に誰かに任せきりにする必要もありません。
いま自分に足りないものは何か。その一点だけを基準に選べば、方法はおのずと絞られていきます。
委託販売の手数料をどう見るかについては、手数料の見方をまとめた記事もあわせてご覧ください。