美大生の作品を買う — 一枚を選ぶ前に知っておきたいこと
美術・芸術系大学で学ぶ人の作品を買う。この選択には、完成された作家の作品を買うのとは違う性質があります。
値段が手に取りやすいから、という理由で語られることが多いのですが、実際に一枚を迎えてみると、価格以外の部分がずっと大きいことに気づきます。この記事では、選ぶときに何を見ればよいのか、そして買うときに確認しておきたい実務的な点をまとめます。
完成していない、ということの意味
在学中の作家の作品には、まだ様式が定まっていません。同じ人が半年後にまったく違う描き方をしていることもあります。
これは弱点として語られがちですが、見る側にとっては別の意味を持ちます。その人が何を探している最中なのかが、画面に残っているということだからです。技術が完成した作品は答えを見せてくれますが、探している途中の作品は問いのほうを見せてくれます。
家に置いて毎日見ることになるのは、案外、後者のほうが飽きません。
一枚を選ぶときに見ているもの
絵を選ぶのに専門的な知識は必要ありません。ただ、迷ったときに手がかりになる見方はいくつかあります。
- 離れて見たときと、近づいて見たときで印象が変わるか — 変わる作品は、時間をかけて見るに耐えます
- その色でなければならない理由が感じられるか — 色数の多さではなく、選択の跡があるかどうかです
- 描かれていない部分をどう扱っているか — 塗り残しや余白の置き方には、その人の判断がもっともよく出ます
そして最後は、目が戻ってくるかどうかです。一度見て別のものに移り、それでもまた戻ってくる作品であれば、家に置いても同じことが起こります。
飾る場所を先に決めておく
作品を選んでから場所を探すと、たいてい行き場がなくなります。先に「ここに掛ける」と決めておくほうが、選ぶときの基準がはっきりします。
確認しておきたいのは、壁の幅、日が直接当たるかどうか、そして夜にどの照明の下で見ることになるか、の三点です。直射日光が長時間当たる場所は、作品の状態を保つうえで避けたほうがよい場所になります。
通信販売には、クーリング・オフの規定がありません
オンラインで作品を買う場合に、知っておいていただきたい点があります。
訪問販売などに認められているクーリング・オフの制度は、通信販売には適用されません。返品ができるかどうかは、販売する側が定めた返品特約の内容によって決まります。だからこそ、通信販売では返品特約を含む取引条件を広告に表示することが求められています。
一点物の作品はもともと返品を受け付けていない場合が多いため、購入の前に、返品の可否、送料の負担、支払いの時期、いつ手元に届くのかを確認しておくと安心です。これらは特定商取引法に基づく表記に記載されています。
YOHAKU アトリエでの購入の流れ
私たちの場合は、次のようになっています。
- 価格は作品ごとに、作品のページに表示しています。表示している金額がそのままお支払いいただく本体価格です
- お支払いは銀行振込のみです。ご注文が確定した時点で、金額と振込先を電子メールでお送りします
- 作品の梱包・配送費は実費で、ご注文確定時に作品代金とあわせてお伝えします
- ご入金を確認した後、原則として10営業日以内に発送します
作品はいずれも一点物のため、同じものが再び出ることはありません。額装や特注サイズなど、掲載内容以外のご要望は個別にお見積もりをお出しします。
条件の詳細は料金のページに、掲載中の作品は作品一覧にまとめています。
買うことが、続けることを支える
作品が売れると、次の画材が買えます。展示に出す輸送費が出せます。在学中に「売れた」という経験があること自体が、卒業後に制作を続けるかどうかの判断を変えることもあります。
一枚を迎えるという行為は、その人の制作をひと区切り先まで進める、具体的な支えになります。応援という言葉で語るには、もう少し実利的で、確かなものだと思っています。
作家として作品を預けることをお考えの方は、作家募集のページをご覧ください。
おわりに
学生の作品を買うことは、将来の値上がりを期待する行為ではありません。いま自分が気になっている一枚を、いまの価格で迎えるというだけのことです。
その一枚が家にあることで、部屋に入るたび一度だけ目が止まる場所ができる。得られるのは、そういう種類のものだと考えています。